脱毛したらワキ汗をよくかくようになるはウソ！？

2022年11月28日

色々な脱毛方法を安価で体験出来る世の中だからこそうまれたのが、レーザー脱毛などを行った後に起きる異常な発汗現象を現すいわゆる「脱毛後多汗症」という言葉です。これは正式な病名としての言葉ではありません。
しかし実際にレーザー脱毛を行って ワキ毛を脱毛したことにより、汗をよくかくようになったと感じる……という声があがるのも事実です。
今回は何故脱毛後に汗を多くかくように感じるのか、そのメカニズムについて解説します。

レーザー脱毛のあとにワキ汗をよくかくように感じる理由は主に2つです。
・毛がなくなったことにより、汗が脇を直につたうため
・「精神性発汗」によるもの
また耳慣れない言葉が出てきたように感じるかもしれませんが、それぞれについて解説していきます。

まず、「毛がなくなったことにより、汗が脇を直につたうため」についてです。
ドッと汗をかいた際にとめどなく汗が顔をつたう経験をされたことがある方はわかりやすいかもしれません。ある程度の量であれば、毛髪や体毛などでその汗がせき止められその部位だけがしっとりとする程度ですみます。しかしそのある程度の量を超えた場合に、ダムが決壊したように汗が肌の上を滑り落ちていきます。
脱毛後のワキは、そのダムが決壊した状態と言えます。今までせき止めてくれていたものがなくなるため、そのようなことになると考えられています。

次に「精神性発汗」についてです。
「人前に出て緊張したとき、驚いたときに出る汗で、「手に汗をかく」「冷や汗をかく」といった言葉に関係するもの。
精神的な刺激にともなってでることから「精神性発汗」と呼ばれる。
汗が出る部位は手のひら、足のうら、ワキの下など限られた部位で、短時間に発汗するのが特徴。」

何かしらの不安要素が引き金となっている場合があります。
もし脱毛の前から多汗症の症状があり気になる場合は脱毛のクリニックではなく、皮膚科などの専門の医療機関を受診することをおすすめします。

しかし、一般的にはこういった現象は一時的なものであり、自然におさまるものであるとされています。
もし気になるような場合などは制汗剤などを利用するか、施術を受けたクリニックなどで相談してみてください。制汗剤にはドラックストアなどで購入出来る市販の物だけでなく、医療用の制汗剤もありますので、お気軽に相談されることをおすすめします。

さて、ここまでの解説で医学的に「脱毛したらワキ汗をよくかくようになる」といったことはないという事がご理解いただけたかと思いますが、それでもまだ不安をぬぐいされない方のために汗腺と脱毛の仕組みをご説明します。

本来脱毛で汗を分泌する汗腺が刺激されることはありません。
人間にはアポクリン腺とエクリン腺という2種類の汗腺が存在します。そのうち、毛と密接な関わりがあるのはアポクリン腺という汗腺になります。どう関わりがあるかといいますと、毛根の開口部に一緒に開口しているということです。アポクリン腺は本来はフェロモンの役割をしていたとも言われており、脇の下や乳首、下腹部などの毛穴の開口部に存在しています。ちなみにアポクリン腺から分泌される汗は、毛根にある皮脂腺よりさらに深部に存在する汗腺から毛の流れにそって分泌されるため、毛根に存在する皮脂腺から分泌された皮脂なども巻き込んでいます。そのため乳白色の色をしています。

脱毛の仕組みは医療脱毛でよく用いられるレーザー脱毛でご説明します。医療レーザー脱毛は、毛根に存在するメラニンと呼ばれる黒い色の色素に反応させるものになります。これはレーザーの光エネルギーを黒い色素にあてることで熱エネルギーに変化させることで起きる反応になります。この熱エネルギーが毛根にある毛母細胞という毛を成長させる細胞を破壊することによって、無理やりに毛の寿命を迎えさせ脱毛させるというものになります。毛の脱毛周期を人為的に早めるという作業になります。

つまり黒色をしていない部分にはこのレーザーによる光エネルギーが反応しないため、汗腺や他の部位などにも影響はないとされているのです。

以上の解説から、「脱毛したらワキ汗をよくかくようになるはウソ」ということがわかります。
それでももし多汗の症状が気になる場合は、一度脱毛の施術を受けたクリニックなどを受診されることをおすすめします。